入試まで1ヶ月を切ると、焦りから新しい教材に手を伸ばしたくなります。書店に行くと「直前対策」と書かれた問題集が並んでいて、やっていないと不安になる。この気持ちはよく分かります。
ただ、直前期に成績を落とす最大の原因が、まさにこれです。
結論:残り1ヶ月は、精度を上げる期間
新しい問題集を買うと、解けない問題が並びます。当然です。まだやっていない内容だからです。
すると2つのことが起きます。ひとつは、1ヶ月では仕上がらないこと。もうひとつは、解けない経験を直前期に重ねて自信を失うことです。どちらも当日の得点を下げます。
この時期にやるべきなのは、これまでにやった内容を、確実に出せる状態にすることです。知っているのに落とす問題をなくすほうが、知らない問題を1つ増やすより点になります。
残り1ヶ月にやること
1. 間違えた問題の解き直し
使ってきた教材の、間違えた印がついている問題だけを通します。全問やり直す必要はありません。印がついたところだけで十分です。
2. 過去問の復習(新しい年度より、同じ年度の2周目)
直前期の過去問は、実力を測る道具ではなく、当日の流れを体に入れる道具です。一度解いた年度をもう一度通すほうが、時間配分の感覚が身につきます。
3. 基礎の確認(毎日短時間)
漢字、英単語、計算、用語。直前期に落とすと痛いのは、こうした確実に取れるはずの問題です。1日15分でよいので、毎日触ってください。
1日の組み立て方
| 時間帯 | やること | 理由 |
|---|---|---|
| 朝(起床後すぐ) | 基礎の確認15分 | 頭を試験時間帯に慣らす |
| 午前 | 時間を計った演習 | 本番と同じ時間帯に同じことをする |
| 午後 | 午前の解き直し | 解きっぱなしにしない |
| 夜 | 暗記もの・翌日の準備 | 重い内容は入れない |
ポイントは、午前に演習を置くことです。入試は午前から始まります。夜にしか集中できない状態のまま本番を迎えるのは、いちばん避けたい形です。
捨ててよい問題の見分け方
残り時間が限られている以上、すべてを追いかけることはできません。判断の基準は2つです。
- 配点が小さく、難度が高い — 後回しでよい
- 配点が大きく、基礎だけでも部分点が取れる — 着手する価値がある
捨てると決めた問題は、当日も飛ばします。本番で悩まないために、いま決めておくのが目的です。迷う時間そのものが失点につながります。
手が止まったときは
直前期は、不安で手が止まる日があります。これは意志の問題ではありません。やることが漠然としているときに、人は動けなくなります。
対処はひとつです。前日の夜に、明日やることを3つだけ書き出しておく。「数学の解き直し42〜48」「英単語300〜400」「過去問2020年の国語の復習」。具体的であるほど、翌朝の手が動きます。
やらないほうがよいこと
- 新しい問題集を買う — 仕上がらず、自信を削るだけ
- 模試の判定を見返す — 行動が変わりません
- 徹夜 — 翌日以降を丸ごと失います
- 周囲の進み具合を聞く — 焦りが増えるだけです
- 1日の計画を分単位で作る — 崩れたときに立て直せません
保護者の方へ
この時期、本人はいちばん不安です。そして、その不安を家庭で言葉にできる子は多くありません。
かけるなら「明日は何やるんだっけ?」くらいが適切です。予定を確認するだけの質問なので答えやすく、しかも本人が明日の行動を口に出すことになります。
逆に「大丈夫?」は、答えようがありません。大丈夫と言うしかなく、会話が終わります。
よくある質問
直前1ヶ月は何をやればよいですか。
これまで使った教材の解き直しと、過去問の復習です。新しい問題集に手を出すと、解けない問題が増えて自信を失い、しかも仕上がりません。すでに一度やった内容の精度を上げるほうが確実に点になります。
まだ手をつけていない単元があります。どうすればよいですか。
配点と残り時間で判断してください。配点が大きく、基礎だけでも取れる単元なら着手する価値があります。難度が高く配点も小さい単元は、捨てる判断が合理的です。
過去問は直前も解くべきですか。
解いて構いませんが、目的を変えてください。実力を測るためではなく、時間配分と当日の流れを体に入れるためです。新しい年度に手を広げるより、一度解いた年度をもう一度通すほうが有効です。
不安で手が止まってしまいます。
やることが漠然としているときに手が止まります。前日の夜に「明日やること」を3つだけ書き出してください。決まっていれば、迷う時間が消えます。
直前期に模試の判定を見るべきですか。
見ても行動は変わりません。この時期に見るべきは、過去問で落とした問題の種類です。判定より、明日直せる失点のほうが価値があります。
まとめ
- 直前1ヶ月は新しい教材に手を出さない。仕上がらず自信を削る
- やるのは間違えた問題の解き直しと、過去問の2周目
- 演習は午前に置く。本番と同じ時間帯に頭を慣らす
- 捨てる問題をいま決めておく。当日迷わないため
- 手が止まるのは、やることが漠然としているとき。前夜に3つ書く
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