夏の終わりは、ご家庭でぶつかりやすい時期です。毎年この時期に、保護者の方からも生徒からも、同じような相談をいただきます。
結論からお伝えします。これは相性や性格の問題ではなく、距離が近すぎることで起きています。
この記事の内容
結論:夏は、見えすぎる
学期中、保護者から見える範囲は限られています。学校に行っている時間は見えませんし、帰宅後の数時間だけです。
夏休みは違います。一日中、家にいます。勉強している姿も、していない姿も、どちらも目に入ります。
見えれば、気になります。気になれば、言いたくなります。そして言われた側は、見張られていると感じます。これが夏の終わりの衝突の構造です。
言いたくなる場面と、その扱い
| 見える場面 | 言いたくなること | 代わりにできること |
|---|---|---|
| 昼まで寝ている | 「何時だと思ってるの」 | 朝食の時刻を保つ。起こすのは一度だけ |
| スマホを見ている | 「勉強しなくていいの」 | 休憩かもしれない。時間で判断しない |
| 机に向かっていない | 「今日は何もしてないの」 | 「今日は何時から座る?」と聞く |
| 計画が進んでいない | 「言ったとおりじゃない」 | 「どれがいちばん進んだ?」と聞く |
共通しているのは、責める形ではなく、行動が決まる形にすることです。
距離を取るとは、関わらないことではない
誤解されやすいのですが、距離を取るというのは放任することではありません。関わる場所を選ぶ、ということです。
- 関わる — 食事の時刻、睡眠、体調、提出物の期限
- 踏み込まない — 何を何時間やるか、教材の選び方、勉強の中身
前者は保護者にしか支えられません。後者は本人と、塾や学校の領域です。この線引きがあると、衝突がかなり減ります。
夏の総括を求めない
8月末に「結局、夏はどうだったの」と聞きたくなります。ただ、この問いに気持ちよく答えられる受験生はほとんどいません。
計画どおりに進んだ子はまれで、多くは「思ったよりできなかった」と感じています。そこに総括を求めると、責められていると受け取られます。
聞くなら「どれがいちばん進んだ?」です。できたことを聞く形なら答えられますし、実際に進んだものが必ず1つはあります。
2学期に向けて、一緒に決めるとよいこと
勉強の中身ではなく、生活の枠なら一緒に決められます。
- 帰宅後、何時から座るか
- 寝る時刻をどうするか
- スマホをどこに置くか
- 週に一度、何も言わない日を作るか
最後の項目は、意外と効きます。1日でも受験の話をしない日があると、家の中に逃げ場ができます。10月から2月までを走り切るには、この逃げ場が要ります。
受験生本人へ
この記事は保護者向けに書いていますが、本人にも1つだけお伝えします。
言われることの多くは、心配から出ています。言い方が厳しくても、根っこは同じです。とはいえ、言われて動けるものでもありません。
もし言われるのがつらいなら、先に伝えてみてください。「今日は何時から始める」と自分から言っておくと、聞かれる回数が減ります。先に言うほうが、後から言われるより楽です。
それでも難しいときは
家庭の中だけで距離を保つのが難しいこともあります。近い関係ほど、うまくいかないのは自然なことです。
そういうとき、外に話す場所があると変わります。家では話さないことを、塾では話す生徒は少なくありません。保護者の方も、家庭の外に相談先があると、抱え込まずに済みます。
よくある質問
夏の終わりに子どもとぶつかりやすいのはなぜですか。
家にいる時間が長く、勉強している姿もしていない姿も両方見えるためです。学期中は見えなかったものが見えるぶん、口を出す機会が増えます。
勉強していない姿を見ると言いたくなります。
本人も分かっています。言われるほど机が重くなるため、直接の声かけより生活面の支えのほうが効きます。どうしても言うなら「何時から座る?」のように時刻を聞く形にしてください。
夏の成果を確認したほうがよいですか。
総括を求めると責められているように受け取られます。確認するなら「どれがいちばん進んだ?」のように、できたことを聞く形にしてください。
2学期に向けて何を話しておくとよいですか。
生活の型です。帰宅後に何時から座るか、寝る時刻をどうするか。勉強の中身ではなく、生活の枠を一緒に決めると衝突が減ります。
距離を取ると放任になりませんか。
なりません。距離を取るのは関わらないことではなく、関わる場所を選ぶことです。生活面を支えながら、勉強の中身には踏み込まない形が機能します。
まとめ
- 夏の衝突は、性格ではなく距離の近さで起きる
- 責める形ではなく、行動が決まる問いかけにする
- 距離を取るとは、関わる場所を選ぶこと
- 夏の総括を求めない。できたことを聞く
- 2学期に向けては、勉強の中身ではなく生活の枠を一緒に決める
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