夏休みまでは模試の結果も見せてくれたのに、2学期に入ってから勉強の話をしなくなった。この時期、そうしたご相談をよくいただきます。
結論から言うと、話さなくなること自体は、うまくいっていない証拠ではありません。多くの場合、話す余裕がないだけです。この記事では、なぜこの時期に口数が減るのか、どう声をかければ会話が続くのかを整理します。
この記事の内容
結論:9月は、1年でもっとも余裕がなくなる時期
2学期が始まると、授業が一気に進みます。行事があり、部活の代がわりがあり、模試や実力テストも続きます。夏休みのように自分で時間を組み立てられた状態から、与えられた予定をこなす状態に切り替わります。
そのうえ、夏にやったことの結果はまだ出ていません。やったのに出ない、という状態は本人がいちばん説明しにくいものです。説明できないことは、話題にしにくくなります。
つまり、黙るのは自然な反応です。ここで「なんで何も言わないの」と踏み込むと、次に話す回数がさらに減ります。
会話が続かない原因は、質問の形にある
話してくれないとき、原因は子どもの側だけにあるとは限りません。質問の形を変えるだけで、返ってくる言葉の量が変わることがあります。
答えにくい質問
- 「テストどうだった?」 — 点が悪いと答えられません
- 「勉強した?」 — はい/いいえで終わります
- 「志望校どうするの?」 — 決まっていないと黙るしかありません
いずれも結果を聞く質問です。結果が出ていない時期に結果を聞かれると、答えようがありません。
答えやすい質問
- 「いま、どの科目がいちばん時間かかってる?」
- 「今日やったところ、どのへんまで分かった?」
- 「英語と数学、どっちが先に片付きそう?」
こちらは過程を聞く質問です。うまくいっていない日でも答えられます。答えやすい質問には、聞いていないことまで話してくれることがあります。
質問の言い換え表
| よくある聞き方 | 言い換え | 変わること |
|---|---|---|
| テストどうだった? | どこまでは分かった? | 点が悪い日でも答えられる |
| 勉強した? | 今日はどこをやったの? | はい/いいえで終わらない |
| 志望校どうするの? | いま気になってる学校ある? | 決めていなくても答えられる |
| 間に合うの? | いま何がいちばん不安? | 不安を共有できる |
この時期、避けたい3つの言葉
- 「本気出してるの?」 — 本人はたいてい出しているつもりです。否定から入ると、相談されなくなります
- 「〇〇さんは受かったらしいよ」 — 比較は焦りを生みますが、行動は生みません
- 「今から間に合うの?」 — 保護者が不安を口にすると、本人の不安は二倍になります
どれも心配から出てくる言葉です。ただ、受け取る側には「信用されていない」と伝わります。
何も言わない時間にも、意味がある
受験生の家庭で意外と効くのが、勉強の話をしない時間をつくることです。食事の時間だけは受験の話をしない、と決めているご家庭もあります。
1日のすべてが受験の話になると、家の中に逃げ場がなくなります。逃げ場がない状態は長く続きません。10月から2月までを走り切るには、息を抜ける場所が家の中に必要です。
それでも心配なときに見る目安
本当に手が止まっているのか、話していないだけなのか。家の中からは判断しづらいところです。
ひとつの目安は、生活のリズムが崩れているかどうかです。勉強の話をしなくても、起きる時間と寝る時間が保たれていれば、たいてい動いています。
様子を見てよいサイン
- 起床・就寝の時間が大きく変わっていない
- 食事を普通にとっている
- 学校や塾には行っている
- 友人との会話はふだんどおりある
声をかけたほうがよいサイン
- 就寝時間が日ごとに大きくずれている
- 食欲が落ちた状態が続いている
- 学校を休みたいと言い出した
- 体調不良を訴える回数が増えた
後者にあてはまる場合、勉強以外の要因が絡んでいることが多く、声のかけ方も変わります。無理に勉強の話に戻さないでください。
よくある質問
受験生の子どもが勉強の話をしなくなりました。順調ではないということでしょうか。
そうとは限りません。2学期は授業が進み、行事や模試も重なるため、単純に話す余裕がないことが多くあります。夏にやったことの結果がまだ出ていない時期でもあり、本人が説明しにくい状態にあります。
話をしない子に、どう声をかければよいですか。
結果を聞く質問から、過程を聞く質問に変えてください。「テストどうだった?」ではなく「いま、どの科目がいちばん時間かかってる?」のように、うまくいっていない日でも答えられる形にすると会話が続きます。
受験生に言ってはいけない言葉はありますか。
「本気出してるの?」「〇〇さんは受かったらしいよ」「今から間に合うの?」の3つは避けてください。いずれも心配から出る言葉ですが、受け取る側には信用されていないと伝わります。
家で受験の話をまったくしないのは、放任になりませんか。
なりません。1日のすべてが受験の話になると家に逃げ場がなくなり、長い受験期間を走り切れなくなります。食事の時間だけは受験の話をしないなど、意識的に区切るご家庭もあります。
本当に勉強しているのか分からないときは、何を見ればよいですか。
生活のリズムが保たれているかを目安にしてください。勉強の話をしなくても、起きる時間と寝る時間が安定していれば、たいてい動いています。生活が崩れ始めたときは、勉強以外の要因が絡んでいることが多くなります。
まとめ
- 2学期に口数が減るのは自然な反応で、不調のサインとは限らない
- 結果を聞く質問から、過程を聞く質問に変えると会話が続く
- 「本気出してるの?」「〇〇さんは」「間に合うの?」は避ける
- 受験の話をしない時間を家の中に確保する
- 判断の目安は成績ではなく生活リズム。崩れたときは勉強以外の要因を疑う
ご家庭だけで抱えずに、一度ご相談ください。石井進学塾ではご本人の様子と学習の進み具合を、保護者の方とは別々に把握したうえでお話ししています。家では話さないことを、塾では話す生徒も少なくありません。