夏休みにあれだけ机に向かったのに、9月の実力テストで点が伸びなかった。あるいは、むしろ下がった。この時期、そうしたご相談が毎年増えます。
先に結論をお伝えします。夏の勉強は、9月には点数として出ません。出るとすれば11月以降です。これは気休めではなく、勉強という作業の性質からくる時間差です。この記事では、その理由と、9月に何を見て何をすべきかを具体的に説明します。
この記事の内容
結論:夏の成果が点数に変わるまで、2〜3ヶ月かかる
夏に取り組む内容は、多くの場合「入れ直し」です。1年生の単元に戻る、公式を覚え直す、英単語をやり直す。これらは土台を作る作業であり、作っている最中は外から見て変化が分かりません。
一方でテストが測っているのは「出せるかどうか」です。入れた知識を、制限時間内に、初めて見る問題の形で取り出せるか。この取り出す力は、入れ終わったあとから育ちます。だから順番として、入れた直後のテストでは出ないのが普通です。
9月の結果だけを見て「夏は無駄だった」と判断してしまうと、いちばんもったいない切り方になります。土台を掘り終えた直後に、その穴を埋めて隣を掘り始めるようなものだからです。
なぜ9月のテストでは測れないのか
入れる作業と出す作業は別物
知識を覚える作業と、覚えた知識を使って問題を解く作業は、頭の使い方が違います。教科書を読んで理解できることと、模試で初見の問題を前にして手が動くことのあいだには、かなりの距離があります。
夏に多くの生徒が取り組むのは前者です。後者の訓練は、9月から本格的に始まります。
9月の実力テストは範囲が広い
2学期最初の実力テストは、多くの学校で既習範囲全体から出題されます。夏に重点的にやり直した単元が出るとは限りません。夏に潰した穴が、そのテストに出題されなければ点差にならないのは当然のことです。
他の受験生も夏に勉強している
偏差値や順位は、相対的な指標です。自分が伸びていても、周囲が同じだけ伸びていれば数字は動きません。9月は全体が底上げされる時期なので、順位が横ばいなら、実際には伸びていると考えて差し支えありません。
9月に見るべき、点数以外の3つの変化
点数の代わりに、次の3つを確認してください。どれもテストの点には表れませんが、確実に前進を示す指標です。
1. 解き直しにかかる時間
間違えた問題を、解説を見ずにもう一度解いてみます。夏前より短い時間で解けるようになっていれば、力は確実についています。点数より正直な指標です。
2.「わからない」の粒度
「全部わからない」から「ここまではわかるが、この先が出てこない」に変わっていれば、大きな変化です。わからない場所を言葉にできるようになった生徒は、そこから先の伸び方が変わります。質問の質が上がり、学習の効率が跳ね上がるためです。
3. 手が止まるまでの時間
以前は問題を見た瞬間に手が止まっていたのが、3分は考えられるようになった。これも成果です。入試当日に効いてくるのは、むしろこちらの力です。
夏前と夏後を比べるチェック表
| 見るところ | 夏前の状態 | 伸びているサイン |
|---|---|---|
| 解き直しの時間 | 解説を見ないと解けない | 解説なしで解ける問題が増えた |
| わからない場所 | 「全部わからない」 | 「ここから先が出てこない」と言える |
| 手が止まるまで | 見た瞬間に止まる | 数分は自力で考えられる |
| 質問の内容 | 「これ教えて」 | 「ここまでやったが合わない」 |
| 復習の対象 | 間違えた問題を放置 | 印をつけて後日やり直す |
9月にやると、11月に効く3つのこと
夏に入れ直した内容を「出せる形」に変えるのが9月の仕事です。やることは次の3つに絞って構いません。
1. 教材を増やさず、夏の教材をもう1周する
新しい問題集に手を出したくなる時期ですが、9月に教材を増やすと夏の投資が回収できません。同じ教材の2周目は、1周目より短時間で終わり、しかも定着します。
2.「解く」より「解き直す」時間を長く取る
1回の勉強時間のうち、新しい問題を解く時間と、間違えた問題をやり直す時間の比率を見直してください。9月以降はやり直しに半分以上を充てて構いません。
3. 週に一度、時間を計って過去問を1年分
時間を計ることに意味があります。時間内に解き切れない原因が、知識不足なのか、時間配分なのか、読み違いなのかは、計ってみないと分かりません。
この時期にやりがちな、3つの判断ミス
- 教材を変える — 1回のテスト結果で教材を変えると、どれも中途半端に終わります。判断は3回分の推移を見てからです
- 全科目を同時に立て直そうとする — 時間が足りず、結局どれも上がりません。優先順位をつけて、後回しにする科目を決めてください
- 志望校をこの時期に下げる — 9月の判定は「今のままなら」の話です。まだ入試までの伸びが計算に入っていません
学年別・9月に重点を置くこと
| 学年 | 9月の重点 |
|---|---|
| 中学3年生 | 2学期の内申が最重要。定期テストと提出物を優先し、入試対策は週末に回す |
| 高校3年生 | 過去問を時間を計って解き始める。夏の教材の2周目と並行させる |
| 中学1・2年生 | 2学期の内容が難しくなる時期。つまずいた単元をその週のうちに戻る習慣をつける |
| 高校1・2年生 | 定期テストの点を落とさないことが最優先。評定は受験学年になってからでは戻せない |
保護者の方へ
この時期にいちばん効く声かけは「点数どうだった?」ではありません。「どこまでは分かった?」です。
前者は結果だけを聞く質問なので、答えられるのは点が良かったときだけです。後者は途中経過を聞く質問なので、うまくいかなかった日でも会話が続きます。9月から11月は、この「続く会話」があるかどうかで、粘れる子と切れてしまう子が分かれていきます。
石井進学塾が3ヶ月という区切りを大事にしているのも、同じ理由です。夏に入れたものが形になるまでには、それくらいの時間がかかります。9月はその折り返しではなく、まだ入口です。
よくある質問
夏休みに勉強したのに9月の実力テストで点が下がりました。失敗だったのでしょうか。
失敗とは限りません。夏に取り組む内容の多くは既習範囲の入れ直しで、それがテストで得点に変わるまでには2〜3ヶ月かかります。9月の結果は夏の成果を測る材料としては早すぎます。解き直しにかかる時間や「わからない」の言語化など、点数以外の変化を確認してください。
夏の勉強の成果は、いつごろ点数に表れますか。
一般的には11月以降です。入れ直した知識を、初見の問題形式で時間内に取り出せるようになるまでに時間差があるためです。9月・10月は、その取り出す練習をする期間にあたります。
9月に新しい問題集を買い足したほうがよいですか。
おすすめしません。9月に教材を増やすと、夏に使った教材の定着が中断されます。まずは夏に使った教材をもう1周し、解き直しの精度を上げるほうが得点につながります。
部活を引退したばかりで生活リズムが整いません。何から始めればよいですか。
起床時間を固定することから始めてください。勉強量を増やすより先に、毎日同じ時間に机に向かえる状態をつくるほうが、10月以降の伸びが安定します。
塾に通っていない場合、9月は何を優先すべきですか。
週に一度、時間を計って過去問を1年分解くことを習慣にしてください。時間配分の課題と、取りこぼしている問題の傾向が自分で見えるようになります。
まとめ
- 夏の勉強が点数に変わるのは11月以降。9月のテストで測るには早すぎる
- 9月は点数ではなく、解き直しの時間・「わからない」の粒度・考え続けられる時間を見る
- 教材を増やさず、夏の教材の2周目と、週1回の時間を計った演習に絞る
- 1回の結果で教材・志望校を変えない。判断は3回分の推移を見てから
- 保護者からの問いかけは「点数」ではなく「どこまで分かったか」
9月の結果を見て迷われているようでしたら、一度ご相談ください。三重県松阪市の石井進学塾では、何が積み上がっていて何がまだ足りないのかを、点数以外の材料も含めてお伝えしています。