模試が返ってくると、多くのご家庭がまずA・B・C・D・Eの判定欄を見ます。自然なことですが、判定だけを見て一喜一憂すると、その回の模試から得られるものの大半を取りこぼします。
この記事では、判定より先に見るべき数字と、復習の優先順位のつけ方を具体的に説明します。成績表を手元に置いて読んでいただくと、そのまま次の行動が決まります。
この記事の内容
結論:判定は「未来の予測」ではなく「現在地の記録」
判定が示しているのは、今の実力のまま入試当日を迎えた場合の見込みです。入試まで何ヶ月あるかは、判定の計算には入っていません。
ですから9月のE判定は「無理」という意味ではなく、「今のままなら届かない」という意味です。逆にA判定も「大丈夫」ではなく「今のままなら届く」という意味にすぎません。ここから先で順位が入れ替わるのは、毎年ふつうに起きることです。
判定を見て気持ちが動くのは仕方がありませんが、判定そのものは行動を変える材料になりません。行動を変えられるのは、次に挙げる数字です。
1. 正答率の高い問題を、何問落としたか
模試の成績表には、設問ごとの正答率が載っています。まず確認していただきたいのは、多くの受験生が正解した問題を、自分が落としていないかです。
ここを落としている場合、原因は学力そのものより、次のどれかであることがほとんどです。
- 問題文の読み違い、条件の見落とし
- 時間配分の失敗で、解ける問題まで到達できなかった
- 解答欄のずれ、単位の書き忘れといった処理のミス
これらは次の模試までに直せます。得点の伸びしろとして、いちばん近いところにある失点です。逆に正答率が低い問題を落としていても、当面は気にする必要がありません。
正答率で失点を仕分ける
| その問題の正答率 | 落とした場合の意味 | 優先度 |
|---|---|---|
| 70%以上 | ミス・時間配分の問題である可能性が高い | 最優先で潰す |
| 40〜70% | 理解が浅い。ここが伸びしろの中心 | 次に取り組む |
| 40%未満 | 差がつきにくい問題 | 当面は後回しでよい |
2. 偏差値は、3回分をまとめて見る
模試の偏差値は1回ごとに上下します。出題範囲も受験者層も毎回違うので当然のことです。1回の上下で判断すると、良かった回に油断し、悪かった回に必要以上に落ち込むことになります。
見るなら3回分を並べて、線がどちらを向いているかです。上下しながらでも右肩上がりなら、やっていることは間違っていません。3回続けて横ばいなら、勉強の中身を変えるサインです。
推移の読み取り方
- 上下しながら右肩上がり — 方向は合っている。今の勉強を続ける
- 3回横ばい — 量ではなく中身の問題。やり方を変える
- 下がり続けている — 学習時間そのものが減っていないか、まず生活面を確認する
- 1回だけ大きく下がった — 体調・範囲の相性の可能性。次回の結果を見てから判断する
3. 科目を3つに仕分ける
全科目を同じように上げようとすると、時間がいくらあっても足りません。模試が返ってきたら、科目を次の3つに分けてください。
- 取れているのに、取りこぼしがある科目 — ミスを潰すだけで伸びます。最優先です
- 基礎が抜けている科目 — 模試の復習より、教科書レベルに戻るほうが速く進みます
- いま手をつけない科目 — 割り切って後回しにします
3つ目をつくれるかどうかが、この時期の分かれ目です。すべてを追いかけた結果、どれも中途半端になるのが、秋にいちばん多い失速の形です。
模試の復習は、いつ・どこまでやるか
復習は返却後ではなく、受験当日に始める
もっとも効率がよいのは、模試を受けたその日のうちに、気になった問題だけ解き直すことです。問題の内容を覚えているうちに手を動かすと、記憶への残り方が変わります。
全問復習しなくてよい
返却された成績表を見て、正答率の高い失点に絞れば十分です。時間の目安は、受験した時間と同じくらい。それ以上かけると、次の勉強が止まります。
解き直しノートは「間違えた理由」を1行書く
解き直しをノートに残すとき、答えを書き写すだけでは効果が薄くなります。「なぜ間違えたか」を1行だけ添えてください。「条件を読み飛ばした」「公式は合っていたが計算ミス」など、短くて構いません。同じ理由が3回並んだら、それが自分の弱点です。
保護者の方へ
模試が返ってきた日は、判定の話をしないでいただけると助かります。判定は本人がいちばん先に見ていて、いちばん気にしています。そこにもう一度触れられると、次から成績表そのものを見せなくなっていきます。
かける言葉があるとすれば「どの問題がいちばん惜しかった?」あたりです。答えるために本人が成績表を開く必要があり、しかも結果ではなく中身の話になります。
よくある質問
模試でE判定でした。志望校は変えるべきでしょうか。
9月・10月の時点では変える必要はありません。判定は「今の実力のまま入試当日を迎えた場合」の見込みであり、入試までの伸びは計算に入っていません。判定より、正答率の高い問題を落としていないかを確認し、そこを潰すほうが先です。
模試の判定は、どのくらい信頼できますか。
現在地の把握としては信頼できますが、合否の予測としては限定的です。特に受験者層が模試ごとに異なるため、1回の判定で判断せず、3回分の推移で傾向を見てください。
偏差値が上がったり下がったりします。どう見ればよいですか。
1回ごとの上下は、出題範囲や受験者層の違いで当然起こります。3回分を並べて線の向きを見てください。上下しながらでも右肩上がりなら方向は合っています。3回続けて横ばいなら、勉強の中身を変えるサインです。
模試の復習は、どこから手をつけるべきですか。
正答率が高いのに自分が落とした問題からです。多くの受験生が正解できた問題を落としている場合、原因は学力よりミスや時間配分にあることが多く、次回までに直せます。
復習にかける時間の目安はありますか。
受験した時間と同じくらいが目安です。ただし全問を復習する必要はありません。正答率の高い失点に絞れば、時間は大幅に短縮できます。
まとめ
- 判定は現在地の記録であり、入試までの伸びは含まれていない
- まず正答率70%以上の問題の失点を数える。ここが最短の伸びしろ
- 偏差値は3回分の推移で見る。1回の上下では判断しない
- 科目を3つに仕分け、後回しにする科目を決める
- 復習は正答率の高い失点に絞り、間違えた理由を1行残す
成績表の読み方でお困りのときは、お手元の資料を持ってご相談ください。石井進学塾では模試の結果を判定ではなく設問単位で確認し、次の3ヶ月で何を優先するかを一緒に決めています。