苦手科目に時間をかけているのに、点数が動かない。10月に入ると、こうした行き詰まりの相談が増えます。
原因の多くは、量ではありません。戻る場所を間違えていることです。この記事では、どこまで戻るべきかと、その時間をどう確保するかを整理します。
結論:苦手の正体は、積み残しの位置
苦手科目というのは、才能の話ではなくどこかで積み残した内容が、その後ずっと土台になっていない状態を指します。数学の関数でつまずいている生徒の多くは、関数そのものではなく、その手前の式変形でつまずいています。
この状態で今の単元の演習を重ねても、解説を読んだ瞬間は分かった気になり、翌週には同じ失点に戻ります。土台のない場所に積んでいるので、崩れるのが当然です。
だから最初にやるのは、演習量を増やすことではなく、積み残しの位置を見つけて、そこまで戻ることです。
どこまで戻るか、の目安
戻る地点の判断は、ひとつだけです。解説を読んで、自力で理解できるところまで戻ります。
解説を読んでも分からない場合、まだ戻り足りません。学年をまたいで戻ることになっても構いません。むしろ、そこまで戻れた生徒のほうが、そこから先は速く進みます。
戻る場所の見つけ方
- いま解けない問題を1つ選ぶ
- その解説を読む。分かるなら、演習不足だけの問題
- 分からないなら、その解説に出てくる用語・手順のうち曖昧なものを書き出す
- 書き出したものが載っている単元まで戻る
- そこで同じことを繰り返す
この作業を2〜3回繰り返すと、たいてい原因の単元に行き当たります。
科目ごとの戻り先の目安
| 科目 | つまずきの多い場所 | 戻る先の目安 |
|---|---|---|
| 数学 | 関数・図形の証明 | 式変形、比、一次関数の基本 |
| 英語 | 長文が読めない | 文型と、動詞の使い分け。単語量より先に文構造 |
| 国語 | 記述で点が取れない | 設問が何を聞いているかの読み取り |
| 理科 | 計算分野 | 単位と比例関係。用語の暗記より先 |
| 社会 | 暗記が定着しない | 出来事の順番と因果。単語の暗記は後 |
共通するのは、暗記量が原因に見える科目ほど、実際は仕組みの理解が抜けているという点です。
戻る時間をどう作るか
「戻る時間はない」と感じるのが普通です。しかし、戻らずに演習を続けるほうが時間を失います。
現実的な作り方は次のとおりです。
- 短時間で毎日。週末に3時間より、平日に30分ずつのほうが定着します
- 得意科目の時間を一時的に減らす。得意科目は間隔が空いても戻りが小さいためです
- 戻る期間を2〜4週間と決めて、期限を切る。無期限にすると終わりません
「捨てる」判断をしてよい場合
残り時間と配点によっては、手をつけない判断もあり得ます。ただし、感情で決めないでください。志望校の配点を確認したうえで、どの科目に何点分の伸びしろがあるかで判断します。
また、捨てると決めた科目でも、定期テストの範囲だけは押さえておくほうが安全です。内申に関わるためです。
保護者の方へ
戻る作業は、本人にとって気持ちのよいものではありません。学年を下げた教材を開くことに抵抗を感じる生徒は少なくありません。
ここで「そんなところからやってるの?」と言われると、二度と開かなくなります。戻れたこと自体が前進だと伝えてください。実際、戻る判断ができる生徒は、そこから伸びます。
よくある質問
苦手科目は、どこまで戻ればよいですか。
間違えた問題ではなく、その手前にある「分かるところ」まで戻ります。目安は、解説を読んで自力で理解できる地点です。そこまで戻れば、そこから先は順に積み上がります。学年をまたいで戻ることもありますが、遠回りにはなりません。
いまから戻っている時間はあるのでしょうか。
戻らずに演習を続けるほうが時間を失います。土台が抜けたまま問題を解くと、解説を読んでも定着せず、同じ失点を繰り返すためです。戻る期間は科目によりますが、2〜4週間を見ておくと現実的です。
苦手科目に毎日どのくらい時間をかけるべきですか。
短時間で毎日のほうが効果があります。週末にまとめて3時間より、平日に30分ずつのほうが定着します。苦手科目は間隔が空くほど戻りが大きくなるためです。
苦手科目を捨てるという判断はありますか。
配点と残り時間によってはあり得ます。ただし判断するのは、志望校の配点を確認してからです。感情で決めず、どの科目に何点分の伸びしろがあるかで判断してください。
苦手意識が強くて手をつけられません。
最初の1回を「解く」ではなく「読む」にしてください。解こうとすると手が止まりますが、解説を読むだけなら始められます。読める状態まで戻すことが、苦手を崩す最初の一歩です。
まとめ
- 苦手の正体は才能ではなく、積み残しの位置
- 戻る地点の目安は「解説を読んで自力で理解できるところ」
- 暗記量が原因に見える科目ほど、仕組みの理解が抜けている
- 短時間で毎日。期間は2〜4週間と決めて期限を切る
- 捨てる判断は配点を確認してから。感情で決めない
どこまで戻ればよいか判断がつかないときは、模試や定期テストの答案をお持ちのうえご相談ください。石井進学塾では、答案から積み残しの位置を特定し、戻る範囲と期間を具体的にお伝えしています。